大谷いづみ Izumi Otani
東京都立国分寺高等学校 Kokubunji High School , Tokyo
pp. 16-25 in 日本における高校での生命倫理教育、メイサー ダリル(編)、ユウバイオス倫理研究会 2000年。
資料 生命倫理を軸にした公民科「倫理」教材構成 1999.9 東京都立国分寺高校 大谷いづみ |
テーマ学習教材[考えたいあなたのための倫理入門] | 知識教材[わかりたいあなたのための教養講座] |
■オリエンテーション | |
時間(いま)空間(ここ)ミわたし;わたし ミ からだ/こころ ミ いのち;わたし(自己)ミ あなた(他者)ミ 社会 | |
■プロローグ 【学ぶことの意味】 | |
ヒトに生まれる≠人間に生まれる | [ホモ・サピエンス,ホモ・ファーベル,ホモ・ルーデンス] |
■テーマ学習_ 【人工生殖技術と家族〜ベビーM事件をめぐって〜】 | |
1 アンケート:ベビーM事件 | |
2 バイオテクノロジーとバイオメディシン | 科学技術と人間 合理的精神[ベーコン,デカルト] プラグマティズム 道具的理性[フランクフルト学派] ニュルンベルク綱領 |
3 人工生殖の方法と課題: 人工授精/体外受精; 先天異常児の出生?; 生殖細胞・受精卵[管理・実験・同意]; 複雑化する親子関係 VTR:『ソニアの赤ちゃん』 | |
4 ベビーM裁判: <親子>の法的な決定 裁判の争点(代理母契約の有効性/養育権は誰に) 依頼者と代理母の背景 契約は平等か | 家族とは何か 「代理母」の思想的背景[ユダヤ・キリスト教] 家族の変遷と機能 家制度から近代家族へ 変容する現代の家族 親子とは何か 親にとって子とは何か 子にとって親とは何か 親から独立し生き始める子ども →自我の確立 |
5 分裂する父性/分裂する母性: 遺伝の父・社会的な父/遺伝の母・出産の母・社会的な母 変化する意思・依頼者の責任は? 人のこころは割り切れるか? 出産は労働となりうるか? VTR:『代理出産』 | |
6 人工生殖が問いかけるもの: 人工生殖=福音か?/不妊は不幸か?/不妊は不自然か? | 思いこみ[ベーコン]からの解放 |
7 もうひとつの選択 子どもなしで生きる 養子をとる(自分のためでなく子ども自身のために) |
テーマ学習教材[考えたいあなたのための倫理入門] | 知識教材[わかりたいあなたのための教養講座] |
■テーマ学習_ 【無知は身を滅ぼす?〜脳死・安楽死・尊厳死〜】 | |
1 アンケート:呼吸器の生/臓器移植 | |
2 死の定義: 従来の死の定義(法的/医学的) 脳死の定義(脳の機能/脳死状態とは/植物状態との相違 脳死の<経済学>) | 医療経済学の背景 調整的正義と配分的正義[アリストテレス] 功利主義[ベンサム,ミル] |
3 脳死・臓器移植の背景〜日欧の死生観・身体観〜: 西洋の死生観・身体観 脳機能の停止は死 死体はモノにすぎない 臓器移植は部品交換 臓器提供→無償の提供→愛の贈り物 日本人の死生観・身体観 死体はモノではない わかりにくい死(脳死)の拒否 先祖への思い 死はタブー→死についての論議を避ける 脳死・臓器移植をめぐる日本の現状 VTR:脳死・家族の選択 | 西洋 心身二元論[プラトン,デカルト] 唯物論[エピクロス] 肉体機械論[ホッブズ,デカルト] キリスト教[アガペー] 日本人の宗教観・死生観 モガリにみる宗教観・死生観 八百万の神,死者も神 死はケガレ 情報の倫理 混乱する情報〜情報過多の情報過疎〜 情報公開制度と知る権利 |
4 カレン裁判〜尊厳死をめぐって〜: 死ぬ権利を巡る自己決定権・信教の自由・代理行使権 | SOL(sanctity of life生命の不可侵性) 対 QOL(quality of life生命の質) 高齢化社会と福祉 人格と目的の王国[カント] 死の意味を見い出す[ハイデガー] 仏教[生・老・病・死] 宗教と人生 |
5 安楽死と尊厳死: ヒポクラテスの誓 安楽死(積極的安楽死/消極的安楽死) 尊厳死(生命の量から生命の質へ/リビングウィル) 千葉敦子の死が語るもの〜パターナリズムとの闘い〜 (死を知る権利/インフォームドコンセント) | |
6 エスカレートする<死ぬ権利>: 積極的安楽死・消極的安楽死の区別はつくか? 歯止めはきくか? 脳死→植物状態→重度障害者,高齢者 自殺肯定・代理行使権の濫用(死ぬ権利から死なせる権利へ) 本人の意思か,選ばされた選択か 死の尊厳と生の尊厳 VTR:あなたの声が聞きたい | |
7 何のための医療か?: ホスピス・ケア〜よく生きるためのシステム〜 患者の権利法 | 死の受容の過程[キュブラー=ロス] 社会参加と奉仕[マザー=テレサ] |
テーマ学習教材[考えたいあなたのための倫理入門] | 知識教材[わかりたいあなたのための教養講座] | ||||
■テーマ学習_ 【<生命の質>と自己決定権〜出生前診断の波紋〜】 | |||||
1 VTR:胎児診断(先天異常児の人工妊娠中絶) | |||||
2 選択の基準: | 生物進化論と社会ダーヴィニズム 環境と倫理 国際化と生命[世界と日本] 経済と倫理[マルクス] 下部構造は上部構造をここ迄変えるか? | ||||
どこで線を引くか〜先天異常児から女まで 選択の決定権〜ナチズム下の生殖・安楽死 | 内なる優生思想 | ||||
遺伝学は万能か(遺伝と環境) 生命の南北問題 | |||||
先進国(人工生殖,臓器移植,延命→安楽死・尊厳死) 開発途上国(人口抑制,臓器売買,飢餓) | |||||
VTR:『ジョンが映画に出た』 | |||||
3 自己決定権と選択: 何が不幸なのか? 社会の価値観(社会的圧力)と自己決定権 個が個であるために | 社会と個人 社会契約説[ホッブズ,ロック,ルソー] 人倫[ヘーゲル] 自由と責任[カント,サルトル,フロム] | ||||
■テーマ学習_ 【<自分探し>への旅】 | |||||
1 青年期の意味:イニシエーション,第二の誕生,マージナルマン | 青年期と青年心理[ルソー,フロイト,ユンク,エリクソン] | ||||
2 自己の確立:パーソナリティ,アイデンティティとモラトリアム | 実存主義[キルケゴール,ニーチェ] | ||||
3 女性の自立,男性の自立: 性的アイデンティティ セックス/ジェンダー/セクシュアリティ | ジェンダー論[イリイチ] <らしさ>から<自分自身>へ [ボーヴォワール] | ||||
4 性をどうとらえるか: 生殖,コミュニケーション,欲望 VTR:映画『告発の行方』 性の神話を疑う/人間関係を語る性 | 出会いとしての性 | ||||
5 <もうひとりの自分>との出会い〜愛する能力〜 愛するということ 自分自身を,他者を(友情,恋愛) 労働を,生きることを イメージ・神話・思いこみ・偏見にとらわれない 自分自身の<内的な声>に耳を傾ける, <自分らしさ>を生きる 多様性を認める 想像力〜異なる立場への〜を養う | 再び,イドラ[ベーコン]からの解放 | ||||
■エピローグ 【人間は動物を超えるか?動物に劣るか?】 | |||||
理性と本能 人間の限界と可能性 | [ローレンツ] [パスカル] |
日本における高校での生命倫理教育、メイサー ダリル(編)、ユウバイオス倫理研究会 2000年
学校における生命倫理教育ネットワーク
ユウバイオス倫理研究会(http://eubios.info/indexJ.html)